劇団天虎公演の舞台裏に密着!

客席からは見られない楽屋や舞台袖での

奮闘ぶりに迫ります。

 

今回は劇団で大切にされているお芝居「上を向いて歩こう」の舞台模様をご紹介。

座長の思いや稽古方法などを伺いました。

 

それではどうぞお楽しみくださいませ〜!

(撮影:2023年7月4日昼の部)

 

 

 

■昼の部開演前

 

朝11時。

「おはようございまーす」

いつものように取材班が楽屋を訪ねると…

 

 

七星泰河座長「おはようございまーす」

 

 

前回と同じく、楽曲の保存作業中。

 

「前回ご紹介させていただいた紙吹雪作りが面白かったと

ブログをご覧になった方が言っておられました」

 

泰河座長に伝えますと

 

実はあれからめっちゃ上達したんですよ

お見せするのでまた撮ってくださいね」

 

「そうですか!はい、ぜひ撮らせてください」

(ページの最後にご紹介いたします!)

 

 

 

 

■本日のお芝居「上を向いて歩こう」について

 

左より七星泰河、和新之助

 

 

「これは『上州土産百両』や『月夜の一文銭』と言ったタイトルで

色々な劇団さんで演られているお芝居ですが、

うちでは美影愛先生という方が作ってくださった脚本でさせてもらっています。

僕の師匠(劇団芸昇・みやま昇吾座長)が、

御所の羅い舞座さんに初めて乗せてもらった時

最初にかけたお芝居でした。

だから僕が旗揚げする時も、

初日にこのお芝居をさせてもらおうと決めていました」

(泰河座長)

 

 

 

一番手前の白黒の格子の着物が、座長演じる牙次郎の衣装。

 

 

「初めて牙次郎をやらせてもらったのは16歳の時で

川崎の大島劇場でした。

稽古した後、銭湯に行ってセリフをひたすら繰っていたことを

今でも覚えてますね(笑)。

 

劇団芸昇の七周年記念友情会でも上演され、

劇団天虎でも大切にしている十八番の一つです」

(泰河座長)

 

劇団芸昇七周年記念友情会(2009)のDVD。

 

 

 

 

 

泰河座長の隣の化粧前から、なぜか泰河座長の声が。

見ると、花組むらさきの南條のぼる座長が

口立て稽古の録音を聞きながら化粧をされていました。

 

 

「前回演ったのが1ヶ月前なので、復習しています」(のぼる)

 

 

 

録音データが入ったiPhone。

他にもたくさんのお芝居が収録されています。

 

 

 

 

 

マンスリーゲストの二代目梅澤秀峰さんも

録音を聴いておられました。

 

 

秀峰さん愛用のカセットデッキ。

 

 

 

 

二代目梅澤秀峰さん。

 

 

今日はスリの親分役です。

 

 

 

 

 

和新之助座長

 

 

牙次郎にとって大切な人・銀流しの正太郎を演じます。

 

 

 

 

 

 

花組むらさき 藤間美香座長も

 

 

お芝居ノートを見て復習。

 

 

 

 

 

小道具も舞台袖に。

 

 

 

 

 

音響担当の愛莉ちゃんのメモもスタンバイ。

 

 

 

 

 

「お願いしまーす」

 

 

座長のコールで、開幕です。

 

 

 

 

 

■お芝居開幕

 

《配役》

  • 牙次郎…七星泰河
  • 銀流しの正太郎…和新之助
  • 新吉…藤間美香
  • ひさご屋女将…幸妻弥枝
  • 目明かしの親方辰次…南條のぼる
  • 目明かし定吉…三代目姫竜之助
  • スリ…七星英雄
  • 茶店の娘…七瀬愛莉
  • 燕の親分…梅澤秀峰

 

 

 

 

序幕  江戸市中

 

 

祭りの日。

燕の親方と新吉、銀流しの正太郎が”仕事”に出向いてきた。

 

 

 

茶店の娘にも支払いを弾む正太郎。

 

 

 

 

 

そこへ、以前正太郎が面倒を見てやっていた牙次郎が偶然通りかかって…

 

 

「おやじさん!!」

正太郎との再会を喜ぶ牙次郎。

 

 

 

 

喜びのあまり涙を流す牙次郎に

「泣くな!」と正太郎が一喝。

 

 

泣きん坊の牙次郎がピタッ!と泣き止む。

 

 

 

 

 

 

燕の親方に、正太郎にスリを辞めさせてやってほしいと頼む牙次郎。

 

 

 

 

燕の親分に背中を向けて話をする正太郎。

 

「自分も歳をとった。

旦那たちに迷惑がかかる前に、この稼業から足を洗いたい」

 

 

 

 

燕の親方が認めても、新吉の胸中は…

 

 

 

 

 

燕の親方に縁を切ってもらい、正太郎は晴れて自由の身に。

 

 

一緒に暮らそうという牙次郎。

しかし正太郎はここで別れて

お互い一人前になってから

三年後に再会しようと言う。

 

 

 

 

 

 

不安げな牙次郎。

 

 

正太郎からお守りがわりに持たせてもらった煙管を握りしめ…

 

 

 

 

 

第2場 信州の料亭ひさご屋

 

逗留中の燕の親分と新吉。

江戸前の美味しい料理に感動し、板前に感謝を伝えたいと言う。

 

 

 

 

「流れの板前が作ったもの」と女将。

 

 

 

呼び出されて座敷に出てきた板前を見て驚く二人

 

 

 

 

流れの板前とは正太郎のことだった。

 

 

女将に正太郎へ手紙を託す新吉。

 

 

 

 

 

 

 

第3場 水天宮

 

正太郎に金の無心をする新吉。

正太郎が給金を貯めて作った五両では不足だと言う。

 

 

 

匕首を取り出す新吉を抑える正太郎

 

 

 

揉み合ううちに新吉の腹部に刺さる

 

 

新吉は今際で正太郎への思いを吐露。

だがもう遅い…

 

 

 

 

 

 

 

「新吉。お前は可哀想な男だなあ…」

 

 

 

 

 

 

 

大詰め 江戸 常源寺

 

目明かしの辰次と定吉

 

 

 

 

 

「ガジじゃあねえか。こんなところで何をしている」

 

 

「あ、親方さん。人を待っているんです」

 

 

 

 

兄貴分の定吉から十手を貸してもらう

「その恩人に立派になったところを見せてやれ」

 

 

 

 

お地蔵様の陰から牙次郎を呼ぶ声が…

 

 

 

 

 

正太郎が約束通りやってきた。

 

 

 

 

 

 

むしろを敷いて…

 

 

二人一緒に「まずはご機嫌さん!!」

 

 

 

 

再会を喜んだ後、牙次郎が見せた十手に

 

 

驚いて飛び退く正太郎。

 

 

 

 

戻ってきた辰次がお尋ね者の正太郎に気づく

 

 

 

 

「親方さん、どうか見逃してやってください…!」

 

 

 

 

牙次郎の嘆願に、辰次はどう答えるのか。

二人が選んだ道とは。

 

お芝居最大の見どころを

ぜひ舞台で!!

 

 

 

 

■七星泰河座長がかたる牙次郎という人物

どこか抜けているけれど、義理堅い男

一度助けてもらった人を忘れない。

動物の本能じゃないですけど、恩に尽くす人物です。

だから銀流しの正太郎も、危険を承知で約束の場所にやってくるのだと思います」

 

 

 

 

 

 

■舞踊ショーへ

 

幕開けトップは和新之助座長

 

 

 

 

 

 

支度中の幸妻弥枝さん

 

帯を前で結んで…

 

 

 

 

くるっとひっくり返す

 

アレンジ結びも完璧!

 

 

 

 

 

 

 

 

三代目姫川竜之助座長

 

 

竜之助座長に聞くセリフの覚え方

 

「このお芝居は今日が初めてです。

前日に口立て稽古してもらって、

あとは録音したものを聞いて覚えました。

役者さんによって違うと思いますが、

僕は小さい頃から「見て覚えろ」って言われて

ずっとそうやってきたので。この覚え方ですね。

台本読むより聞いた方がリズムが取りやすいんですよ。

リズムと一緒に覚える感じですね」

 

 

 

 

劇団天虎のスーパージュニア・七星愛莉ちゃん。

 

音響テーブルを操作しながら自分で着付け。

いつもながらすごいの一言。

 

 

 

 

七星愛莉ちゃん

 

 

 

 

 

愛莉ちゃんが踊っている間は七瀬英雄さんが音響につきます

 

 

 

 

 

 

 

藤間美香座長

 

 

 

 

七星英雄さん

 

 

 

 

和新之助座長&三代目姫川竜之助座長

 

 

「今日は相舞踊です」

 

 

 

 

舞台をいっぱい使って、流れるように踊るご両人

 

 

 

 

 

 

女形の七星泰河座長

 

 

板付で登場

 

 

 

 

 

楽屋に戻って間髪入れずに立役に変身

 

 

ワンコーラスで

 

 

群舞に参戦!

 

 

 

 

 

女形の支度中の南條のぼる座長

びん付油で鬘を整えます

 

 

「曲は○○○です〜」

 

「はーい」

 

香盤表に書き留める愛莉ちゃん

 

 

本当に働き者です♪

 

 

 

 

 

 

南條のぼる座長

 

 

 

 

 

いよいよラスト舞踊へ

 

 

「貝殻節」

黒と白の衣装で厳かに

 

「これは京橋劇場に乗った時に作ったもので

大きく動く振り付けで、派手に見せる感じですね」

(泰河座長)

 

 

 

扇にあおられ、雪かごから紙吹雪がハラハラと

 

 

お昼の部終演!

お疲れ様でした!!!

 

 

 

 

 

■本日のエピローグ・泰河座長の紙吹雪工房♪

 

「前回取材してもらった時より

めちゃ早く切れるようになったんで見てください」

 

 

座長の傍に愛用の裁断機。

空いた時間はせっせと紙切り。

 

 

 

 

こんなふうに縦長に切って

 

 

「あとはハサミで雪のサイズに切ります」

 

 

 

 

完成した紙吹雪。

 

 

持ち上げると結構重いです。

 

「5キロ入ってます」

 

この量で、通常のショーの1回分だそうで、

「梅川忠兵衛」はこの3倍。

「三人吉三」などはもっと大量に使うそう。

推定50〜60キロ!

ひえ〜。

 

 

「買うと高いんですよ。1キロで6000円くらい。

他の劇団さんも必要だろうから

たくさん作って売ろうと思ってます

もちろん通常より安価でお分けしますので

必要な方は僕まで言ってくださいね」

 

と、すっかり紙吹雪職人と化した座長。

慣れた手つきでサクサク切っておられました。

 

 

では今回も名言で締めていただきましょう・・・

 

「腕が上がれば金になる」by 泰河

 

 

 

劇団紹介

劇団天虎(げきだんてんこ)

劇団芸昇で座長を務めた七星泰河座長が、2019年7月に羅い舞座 堺東店で旗揚げ。
古典から現代劇まで幅広く演じ、特に三枚目役には定評がある七星泰河座長のもと、旅芝居という大河へ悠々と挑む。

七星泰河座長の初舞台は8歳。昨年の2月には芸道20周年の記念公演を羅い舞座 京橋劇場で行いました。

現在28歳。自ら立ち上げた劇団を牽引する若き気鋭の座長。

ただいま羅い舞座堺駅前店で元気いっぱい公演中です!