舞台袖レポート 更新情報
羅い舞座 京橋劇場 2023年9月公演
「劇団九州男」舞台袖レポート
2023年9月24日 15時44分06秒
舞台袖レポートでは、楽屋や舞台袖など客席からは見られないところの様子をお届けしています。
今回は、羅い舞座 京橋劇場での劇団九州男公演に密着しました!
(2023年9月14日・16日取材)
■開演前
午前11時。
羅い舞座京橋劇場の舞台裏にお邪魔すると、舞台でリハーサルが行われているところでした。
「はい、次はラスト舞踊ね」
「芝居の立ち回り、合わせとこか」
座長・大川良太郎(おおかわ りょうたろう)さんの声かけに座員さんたちは瞬時に対応します。
その裏では、お芝居で使う小道具の製作。
こちらの竹はなんと塩ビのパイプでできていて、ノコギリで豪快に切っていました!
棟梁「刀を当てたら、竹が切れる仕掛けです」
リハーサルが終わると、各自の準備を始めます。
こちら、4階にある個室の楽屋。
メイク前の後見・金沢伸吾(かなざわ しんご)さんをパシャリ。
メイク用品のケースは、中が仕切られていて使いたいものがすぐに出せるようになっていました。
伸吾「みなさんこれを使っていると思います。収納がしやすいんですよね」
5階に戻って、桜井翔一郎(さくらい しょういちろう)さん。
桜井さんの化粧前は舞台袖。そこを選んだのには、彼の仕事が関係していました。
翔一郎「照明を担当していて、なるべく近いところでしています」
なんと、役者をしながら照明も担当されていたのですね。
劇団九州男の照明は凝っていると評判。
翔一郎「プログラムを組んでいますが、舞台を観ながら微調整します」
今回のショーもどんな風に照らされるのか楽しみです!
場所を移動して、再び4階の楽屋に。
晴天昊輝(はるたか こうき)さん
昨年の6月に入団。
岡山で劇団九州男の舞台を観て、入団を決めたのだそう。
お芝居では子分役などで出演、舞踊ショーでは投光を担当しています。
朱雀颯太(すじゃく そうた)さん
昨年4月に入団。
岩手で行われた大川良太郎座長の特別公演を観たのがきっかけ。
元々日舞を習っていたそうで、舞台化粧も手慣れたもの。
舞台以外に劇団の音響を担当します。
右端の大きい入れ物にはおしろいが入っていました。
役者さんのメイクにはおしろいは欠かせないものなので、とっても大容量ですね。
紫月音はる香(しずき はるか)さん
2021年8月、大衆演劇が好きで、未経験からこの世界に飛び込んだそう。
舞台以外に、座長の着付けのほか、お芝居の投光も担当しています。
隣では、むらさき要(かなめ)さんもお化粧中。
むらさき要さんはキティがお好きだそうで、楽屋には大きなキティちゃんの御座が敷かれていました。
宝塚歌劇ファンでもある要さん。
休演日には宝塚の公演へ行くのが楽しみだそうですが、最近はなかなか時間が取れないそう。
みなさん好きなものに囲まれながら、てきぱきと準備を進めていきます。
「あれ?椿千春(つばき ちはる)さんは…」
「ああ、彼は舞台の後ろにいますよ」
「え!舞台の後ろ?」
なんと、椿千春さんの化粧前は本舞台の上。舞台裏で準備をされていました!
椿「道具を担当しているのと、早着替えもあるので、ここが便利なんです」
お芝居の映像を見ながら準備されていて、椿さんの熱意が感じられます。
近くにはナッツの食べ物が。
「ナッツお好きなんですか?」と尋ねると、引き出しから大袋がどんどん出てくるw
椿「化学調味料とか甘味料とか見ちゃうんですよ。それらが入ってないのを食べるようにしています」
食べ物や飲み物にもこだわっているという椿さん。さすがです。
お次は、5階の舞台袖スペースに、九蝶香おり(くじょう かおり)さん
座長の妹であり、幼い頃から舞台に。
舞台以外に座長のマネージャー役としても大忙しの毎日。
そのお隣には、雪乃聖菜(ゆきの せいな)さん
香おりさんの長女で、座長の姪っ子。
小さい頃から舞台に立ち、現在18歳。娘役はもちろん子役もこなします。
お話を聞く途中、あちこち移動していたのですが、驚いたのが機材や道具の量。
楽屋や廊下にたくさん置かれていました。
おびただしい数のかつらケース。
荷物はまだまだあり、必要なものだけを持って来ているそうですが、
「かつらだけは思いついた時にかぶりたいので、ほぼ全部持ち込んでます」と、座長談。
かつらケースにはユーモアな名前が書かれているものが多く、くすっと笑ってしまうものもあります。
ちなみに赤色のものはむらさき要さんのものだそうです。
多くの道具を間違えないように工夫されているんですね。
そしてここで思わぬ出来事が。
なんと良太郎座長が体調不良で病院に向かうことに。
急遽セトリを変更しなければいけなくなりました。
直前の変更は、椿さん曰くよくあるのだそう。
開演時間が迫っている中、みなさんが協力してセトリを組み直します。
お昼12時。
舞台の幕が上がります。
■開演〜第一部はお芝居から変更してミニショーへ
トップバッターは椿千春さんと桜井翔一郎さんがつとめました。
続いて紫月音はる香さん。
準備が完了した伸吾さんは、音響や照明をチェック。
舞台上の金沢伸吾さん。
朱雀颯太さんは、フード付きの着物で登場。
雪乃聖菜さん
舞踊で使っているバックはファンの方からいただいたものだそうです!
花がぎっしりついたハート型のバッグ。
手作りでしょうか?めちゃめちゃ可愛い。
むらさき要さん。
布さばきがとてもきれいでした。
一本目とはガラリと雰囲気を変えて、客席から登場した椿千春さん。
実はこの刀は、むらさき要さんのものだそうで、
「私のやん!」とクレームが入っていました(笑)
九蝶香おりさんは舞扇を使った舞踊を披露。
桜井翔一郎さんもトップの時とは違う雰囲気に。
晴天昊輝さんと続き…
第1部ショーのラストは「嗚呼、夢神輿」!
みなさんがとても楽しく踊っていて、お客様の盛り上がりも最高潮!
こちらにピースしてくださいました♪
以上で第一部ミニショーが終演です!
緊急事態で一時は騒然、変更に次ぐ変更になりましたが、
みなさんそれを全く感じさせない、パワフルな舞踊を披露されていました!
ここで取材班は撤収。
お芝居の取材は後日改めることになりました。
(その後、座長も無事戻られ、夜の部は出演されたとのこと、本当によかったです!!)
【9月16日お昼の部「良太郎・椿・翔一郎祭り」】
■開演前
午前11時。
舞台ではお芝居のリハーサル中。
みなさん傘を持っています。
今日は傘を使った立ち回りのようです。
座長の化粧前スペースへお邪魔しました。
今日は座長・椿・翔太郎の3人祭りということで、いつもより多めに出演予定。
本日の衣装がずらり。
大量に用意されていますが、これ、1回の公演で着る分…ですよね??
化粧前の大川良太郎(おおかわ りょうたろう)座長。
DVDで今日のお芝居のセリフの確認中。
このあと、別日のお芝居の台本を繰らないといけないそうで、しばらくお声かけは控えることに。
「よろしくお願いします!」
開演前の挨拶に来た椿千春さん。
今日の「祭り」のメインの1人です。
今日のメイン3人目、桜井翔一郎さん。
開演5分前。空気が引き締まっていきます。
支度中の九蝶香おりさん
「客電、客電」
着替えながら座長がスイッチをオフ。
「皆様、本日はようこそ、よーこそ!!
劇団九州男、羅い舞座京橋劇場公演にお越しくださいまして、
まことにまことに〜、ありがとうございます!!」
劇団九州男の公演をご覧になった方であれば、この座長による開演前のアナウンスはもうお馴染みのことと思います。
このアナウンスを、座長がどこで言っているかというと
なんと、舞台の上。
お客様の反応も、めーっちゃ、聞いておられます。
次に観劇する時は、もっと大きな声援を送らねば…笑
舞台袖に戻る前に、棟梁さんに一礼。
「よろしくお願いいたします!」
この挨拶をもって、いよいよ開幕です!!
柝頭を打つ雪乃聖菜さん。
このガイコツマイクは、柝頭を打つためのマイクだそう。
とにかく、劇団九州男は機材マニア?と思うほど、機材がいっぱい。
大きなものから小さなものまでめちゃめちゃある!ので
追い追いご紹介してまいります!
■第1部お芝居「男の人生」
序幕 草津一家 二代目(桜井翔一郎)就任を祝う宴席。
テツ(椿千春)から間違った時間を教えられ、遅刻してしまう伊三郎(座長)。
客人の大親分が助け舟を出すも…
子分たちに追い出されてしまう。
抵抗しまくる伊三郎
全員「この芝居は1時間で終わらせないとって言ってたでしょ!」
座長「いやだいやだ、出ていかねえw」
舞台袖。音響につく香おりさんと、照明を担当する聖菜さん。
モニターがいっぱいで、飛行機のコクピットのよう。
こちらはお芝居の台本。
手書きの台本をスキャンしてタブレットで管理しています。
幕をあける合図の柝(き)を打つ翔一郎さん。
機械音で代用されることが多くなった拍子木の音。
デジタル化が進んでも、昔ながらのやり方を大切に残されています。
第2場 伊三郎の家
かんざしのプレゼントに喜ぶ妻りく(九蝶香おり)
「俺がさしてやろう」
ぷすっ
「違う違うw」
そんな平穏な時間も束の間…
第2場が終わって、第3場へ。
場面転換中も、幕前でお芝居が続けられているため、暗がりの中で道具を移動させます。
第3場 伊三郎の悲劇の始まり…
いよいよ大詰め。
喧嘩支度の座長
着替えながらも、伊三郎の怒りと悲しみをまとったまま。
ビリビリと鬼気迫るものがありました。
舞台では大きな木のセットが組まれます
めちゃめちゃ高くて、ファインダーに収まりません。
4メートル?もっと?あるでしょうか。
大詰め 伊三郎対草津一家
傘を使った立ち回り。
傘で見えない分、息が合っていないと難しい。
大木のセットにぶつかった瞬間
雪崩のような紙吹雪が舞う
お芝居終演!
大急ぎで片付け、次の準備に向かいます
先ほどの大木のセット。
お芝居中は真っ暗で見えませんでしたが、天上の部分に、雪かごがセットされているのが確認出来ました。
こういう細かい演出の積み重ねが、盛り上がりをもたらすのですね。
舞台袖にはけながら、アナウンスする座長。
とにかくずーっと動き喋り続ける座長でした。
紙吹雪の掃除をする晴天昊輝さん。
これが終わると、ショーの照明につきます。
その前に、舞踊ショーの注意事項を説明するために…
チアガールに変身!可愛いw
こちらは舞踊ショーで使われる照明の機材。
幾つものライトがついて、まるで「照明の木」のようです。
■第2部舞踊ショーへ
さて、みなさん休む間もなく、舞踊の支度。
座長と、座長の着付けを手伝うはる香さん。
里見要次郎さん(関西大衆演劇親交会会長)の歌のタイトルがいっぱい描かれた浴衣。
名曲揃いでテンションが上がりますよね。
トップの舞踊は、プロジェクトマッピングを使用。
背景に大きな花火が上がります。
「たまや〜!」
客席の壁にも花火が。
続いて女形支度の座長。
割幕が開くと同時に大きな歓声が起こります。
2本目の女形支度。
着物に合わせてチークの色を変えたり、メイクも微調整。
金沢伸吾さんの舞踊はペンライトタイム。
「今日もきれいやでー!」
音響を担当する颯太さん。
良太郎・椿・翔一郎
今日の主役3人舞踊
立役メイクもその都度変えます。
衣装に合わせてラメを追加。
ここでいつもの「香水チェック」。
座長が使っている香水は…?
「4種類をブレンド!!」でした。
大きなフラッグを持った座長
めちゃめちゃデカい!
例によってファインダーに入りませんw
これをぶん回す!!
腕力どうなっているの〜〜
非力な取材班は座長のパワーに目を疑うばかりです@@
18曲あるので、いつも以上にハイスピードで進むショー。
楽屋もフル回転です。
紫月音はる香さん。
準備から終演まで、1.5倍速で見ているような舞台袖の光景。
みなさんめちゃめちゃスピーディ。
「うちは早替えが多いので、これくらいじゃないと間に合わないんです」と九蝶香おりさん。
この日のラストは撮影禁止のためご紹介できませんが
(前日に急に「やろう!」と思いついて稽古した新作だそう)
広い舞台いっぱい使ったダイナミックな素晴らしいショーでした!
劇団九州男の送り出しのルール
まだまだコロナ感染が収束しない中ですが、速やかに安全に配慮して、行われています。
■大川良太郎座長メッセージ
今月は内容を濃くやろうというテーマで、
普段あまりやらないようなお芝居や舞踊ショーをたくさん出してます。
ご覧になったお客さまにどう伝わっているか、響いていただけているかわからないのですが、
少しでも喜んでいただけていればと思いながら、
劇九の良さを全面に出して頑張ってますので、ぜひお運びください!
■劇団九州男
昭和59(1984)年に現太夫元・杉九洲男(当時・大川九州男)が「大川劇団」として旗揚げ。現後見の金沢伸吾との二枚看板で人気を集める。平成4(1992)年9月に劇団名を現在の「劇団九州男」に改名。平成15(2003)年11月1日に杉九洲男の長男、大川良太郎が座長に就任。商業演劇やテレビなど多方面で活躍、人気を博している。
- 劇団公式サイト:http://ryotaro.main.jp/
- 大川良太郎ファンクラブサイト:https://okawaryotaro.net/
- 大川良太郎ツイッター:https://twitter.com/ryotaro_gekik9