舞台袖レポート 更新情報
羅い舞座グループ弁天座 2024年1月公演
「宝海劇団」リニューアルオープン公演レポート
2024年1月28日 21時55分48秒
奈良県大和高田市で長らく親しまれてきた大衆演劇劇場「弁天座」が
2024年1月、羅い舞座グループ5店舗目の劇場としてリニューアルオープンいたしました!
リニューアルオープン公演を務めるのは宝海劇団。
今回は記念すべき初日の舞台模様をお届けします!
(2024年1月1日取材)
■開演1時間前
2024年1月1日11時。
明け方に降っていた雨もやみ、青空が見えてきました。
近鉄大和高田市駅から南へ徒歩3分。
「羅い舞座グループ弁天座」に到着です。
受付の門松がお客様をお出迎え。
「おはようございまーす」
舞台上は「寿式三番叟(ことぶきしき さんばそう)」の稽古の真っ最中。
左より 宝海空也(たかみくうや)さん、宝海大空(たかみおおぞら)座長、宝海大心(たかみだいご)さん。
花道から三人の稽古をじっと見つめる少年あり。
三代目ボーイ豆タンクくん。真剣そのもの。
ちび丸くんもやってきました。
これから全員でリハーサルです。
「はいっ!」要所要所でかかる座長の合図。
扇の位置もバッチリ。
「寿式三番叟」は、
天下泰平、五穀豊穣を祈願する能楽の儀礼曲『翁(おきな)』の後半部分の演目で、
お正月やお祝いの席に好んで舞われます。
今日は劇場のオープンとお正月。
二重におめでたい日なので、ピッタリですね。
舞台上には樽酒がドーン。
お屠蘇と清めのお塩、お米もセッティングされています。
「三番叟」のリハーサルを終えて、みなさん舞台化粧にかかります。
手前から、空也さん、大心さん、蘭丸さん、ちび丸くん。
係長・爽馬(そうま)くん(9ヶ月)が持っているのは今日のセットリスト。
嬉しそうに、ブンブン振って見せてくれました^^
大入姫・奈希(なぎ)ちゃんと爽馬くんが並んでいるところをパシャリ。
仲良し姉弟のふんわり笑顔にとろけますね🎵
その隣では、大空座長が「三番叟」の着付け中。
「三番叟」専用の衣装。
着付けは難しいのでしょうか?
大空「いえ、そんなに複雑じゃないんですけど、
お正月しか着ないので、どうやったっけ?ってなりますね」
「三番叟」では黄色の足袋を履くそうです。
その頃、劇場エントランスでは入場を待つお客様の列が。
12時。お待ちかね「新春&こけら落とし公演」開演です!
■第1部「寿式三番叟」
「チョン、チョン、チョンチョンチョンチョン……」
柝の音とともに「三番叟」の舞手が登場。
清めの塩とお米をまく宝海空也さん。
「おおさえ、おおさえ、
喜びありや、喜びありや
我がこの処より他へはやらじ……」
左から 空也さん、大空座長、大心さん。
厳かでありつつ、ダイナミックに。
中幕が開き、全員揃ってご挨拶。
「新年あけましておめでとうございますーー!」
「こけら落とし公演、一生懸命務めて参ります。
どうかご贔屓くださいますよう、
隅から隅へのお客様、一重に願い奉ります…!」
さあ、ここからが「三番叟」の本番。
大空座長と中心にビシッと決まってます!
大空座長。鈴と扇を持って
だんだん動きがハードになります。
宝海大心さん。
笑顔キープしてますが、膝がプルプルしているはず(笑)。
まだまだ中盤!!
「もうダメだ〜〜っ」
「まだまだー!」
お客様「がんばって〜〜(笑)」
他のメンバーが再登場。
ラストスパート、みんなで舞まくり!
まるで舞踊の耐久レース。
賑やかなオープニングに場内が一気にあったまりました!
■第2部 お芝居「大阪嫌い物語」
大阪の大店「河内屋」の次男坊「若ぼん」が繰り広げる人情喜劇。 風変わりだけれど心優しい「若ぼん」を、大空座長が熱演!
舞台は河内屋の店内。
若ぼんの思い人である女中のお八重を、若ぼんのいない間に、店から出て行かせた手代の幸吉(空也)。
お家はん(真紀)の言いつけとはいえ、気持ちが咎めて、若ぼんの義姉(蘭丸)に相談する。
左より 幸吉(空也)、義姉(蘭丸)
長男の新太郎(大心)も、東京に店を出したい夢を言い出せずにいた。
左から、若ぼん(大空)、兄の新太郎(大心)
そう、ここ河内屋ではお家はん、そして後見人である伯父(竜也)のいうことが絶対なのだ。
左から 若ぼん(大空)、伯父(竜也)
お家はんの指示で、女中部屋に通される異母姉(愛輝)を、いたわる若ぼん。
左より 若ぼん(大空)、異母姉(愛輝)
「同じきょうだいやのに、かわいそうや…」
若ぼん「お八重を返してくれなんだら、俥引きになったる!」
伯父「ああ、なったらええ」
伯父には泣き落としは通用しない。
「ええい、ほんまに俥引きになったるわい!」
お家はん「ほんまに行ってもうた」
伯父「どうせすぐ帰ってくる」
左より 伯父(竜也)、お家はん(真紀)
数日後。
本当に俥引きになった若ぼんに皆びっくり。
兄の夢や異母姉への待遇を、お家はんに直訴。
どんなに頼んでも、分かってくれない…
若ぼんの長台詞。
このお芝居の聞きどころです。
若ぼんの頑張りに、兄も勇気を出して言いました。
「伯父さん。わし、東京に店出したいねん」
そして、ついにお家はんも……
母の話を聞いた若ぼん
「お母ちゃんもしんどかったんやなあ…」
1時間半、涙あり笑いありの親子対決。
ぜひ舞台で!
お芝居終わって舞台口上。
ここで樽酒の鏡割り。
「よっ!」
樽酒はロビーに設置され、来場の皆さんに振る舞われました🎵
大入りティッシュを配ります。
■第3部舞踊ショー
トップステージは座長の女形を中心とした群舞から
宝海大空座長
花道に立つときりりとした雰囲気が際立ちます。
三代目ボーイ豆タンクくん。気迫のこもった舞踊
舞台袖にはける前、次に登場する大空座長と一瞬の相舞踊。
まるで別れゆく男女のよう。
わずかな合間も魅せる、粋な演出です。
大空座長に続いて、愛輝さんと大心さんも登場。
「あかん🎵あかん🎵」
「ペットボトルの蓋が…あかんよ〜♪」
愛輝さんも
「あかん!」
くるくる
パッ
「あきました」
おあとがよろしいようで^^
宝海空也さん
元気いっぱい躍動的な個人舞踊
ちび丸くんは女形ではんなり登場
黒の揃えの着物が決まってます
そして本日のラスト舞踊「飢餓海峡」
宝海竜也座長扮する犬飼多吉が客席より登場
幕が開くと、舞台は下北半島の波打ち寄せる岩場。
犬飼を見下ろすように立つ杉戸八重(大空座長)
ただ純粋に犬飼を慕う八重の心を知らず、犬飼は…
「ここは天井が高いので、雪が綺麗に降るんです」と話していた大空座長。
本当に、舞台が1枚の絵のような、悲しくも美しい光景でした。
■追加ショー
お昼の部が終わって1時間ほどの追加ショーも盛り上がりました!
幕開けトップは宝海大空座長
投げた扇がブーメランのように戻ってきて…
ふわっとキャッチ
お見事!
メンバー揃って改めてご挨拶
宝海真紀さん
お芝居の「お家はん」からガラッと変わってしっとりと。
キメキメで出てきた大心さんのフードを持つ大空座長
バサッ
「おーい」(笑)
フードを取って満面スマイルの大心さんでした♪
宝海蘭丸(たかみ らんまる)さん
エッジの効いた攻めの舞踊
中舞踊はアクションたっぷりの「孫悟空」
この時、スマホのアラームが鳴り、
能登半島地震が起きたことを知りました。
震源地は震度7、ここ奈良も震度3。
劇場に吊るされたタペストリーが揺れ、一時騒然に。
踊っていた大空座長は全く気づかなかったそうです。
客席を気遣う大空座長
続報と場内の安全を確認して、再開となりました。
三蔵法師姿のちび丸くん。
めちゃめちゃ似合ってますね!
三代目ボーイ豆タンクくんと座長の棒バトル!
拍手が大きかったのはどっち??
園長 宝海竜也(たかみ たつや)さん
引き締まった舞踊で、場が改まりました。
再び舞台は雪景色に。
袴姿の大空座長の十八番「風雪ながれ旅」
空中に均一に広がる紙吹雪が、本当に美しいです。
最後は全員で「一本釣り」!
舞台の合図で手をあげて〜
「ヒュー!!」
皆様しっかり釣られましたでしょうか?!
大入姫の奈希ちゃん登場。これにて終演!
「ありがとうございましたー!!」
宝海ボーイズのひときわ大きな声でのご挨拶。
宝海劇団パワーで元気いっぱい、2024年と劇場のスタートとなりました!
■宝海大空座長メッセージ
この度は羅い舞座グループ弁天座のこけら落とし公演という大役を仰せつかりました。
弁天座は、6年前、僕が座長になって初めて乗せていただいた思い出の場所です。
先日乗り込んできた時、「あ、ここは絶対楽しくなる!」という予感がしました。
舞台の広さ、客席数、天井の高さもちょうどいい。
ここの造りの良さを活かした演出を考えてやっていきたいと思います。
1ヶ月、どうぞよろしくお願いいたします。
こけら落とし当日、能登半島では震度7の地震が発生し、大きな被害が報じられてます。
被災された皆様には、心からお見舞い申し上げますとともに、どうかご安全に、1日も早い復旧をお祈り申し上げます。
■宝海劇団プロフィール
平成15(2003)年2月、太夫元である宝海竜也が茂木健康温泉(栃木県)で旗揚げ。
平成27(2015)年に座長襲名した宝海大空は幼少の頃から
「スーパーちび玉」として他の舞台や映画、テレビ出演など幅広く活躍。
子役の成長も著しく、明るく元気な舞台で人気を博す。