舞台裏シリーズ
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舞台裏シリーズ

羅い舞座 堺駅前劇場 2023年9月公演
「澤村慎太郎劇団」舞台袖レポート

2023年9月17日 19時16分22秒


客席からは見られない、楽屋や舞台袖での奮闘模様をお届けする舞台袖レポート。
今回は羅い舞座 堺駅前劇場より澤村慎太郎
劇団公演の舞台袖に密着です!

(撮影:2023年9月7日昼の部)

 

 

■開演1時間前、11:00

澤村慎太郎(さわむら・しんたろう)座長はすでにお髭剃りを始めていました。



「バタバタするのが嫌なので、余裕を持って準備しています。10時には集まってその日の稽古をしています。他の人ももうお化粧始めちゃうので11:30には終わってるかも。」

 

 

 

澤村千代音(さわむら・ちよね)さん、お化粧をどんどん進めていました。
恥ずかしいとおっしゃいながらも、この日は気さくにたくさんお話していただけました!
千代音さんの周りにはオムツやベビークリームなどなど、てんてん丸ちゃんの育児グッズがたくさん。

 

 

ママの隣でiPad中のてんてん丸ちゃん、1歳9ヶ月とのこと。
記者に緊張して普段よりモジモジ。。

この日は鼻風邪を引いていたそうです。
移動が多い生活だと、かかりつけの病院が無くて大変ではないですかと聞くと、以前てんてん丸ちゃんがお熱を出した時、ファストドクターというアプリを使ったそう。

お医者さんが楽屋まで来てくれて、その場でお薬まで処方してもらってとても助かったとのことでした。便利〜!

 

 

 

 

てんてん丸ちゃんのヘアゴムBOX。
かぎ針編みの飾りゴムはお客様の手作りとのこと。

 

 

 

 

ママとパパにも甘えるし、お隣の天神龍太(あまみ・りゅうた)さんとも仲良しで、大きい背中にピッタリくっついていました。

団員さんみんなと仲良しだけど、龍太さんには特に懐いているそう。

 

 

 

 

その隣に澤村飛龍(さわむら・ひりゅう)さん

 

 

指先まで丁寧におしろいを塗っていました。

 

 

 

さらにお隣は澤村優翔(さわむら・ゆうと)さん

 

 

一番メイク道具が多い印象。
こだわりは特になく、ただ多いだけとのこと。

 

 

 

楽屋奥、お道具で囲われた形で澤村蝶五郎(さわむら・ちょうごろう)さんのお仕度ブース。
粛々と準備を進めておられています。

 

 

 

 

 

とにかく楽屋が綺麗!とてもスッキリ広々としています。
座長「迷路みたいなのが苦手なのでお部屋は整頓して広くしています

 

 

今日と明日に着るお衣装がすでにセッティングされていました。

そこからどんどん着付けを始めていかれます。
何事にも余裕を持たせているからか、開演直前でもみなさん淡々と落ち着いて、時間の流れがゆっくりとしていました。

 

 

 

座長もメイクを仕上げて、お着替えはみなさんで手伝います。

 



 

 

髭つむぎの袴、素敵!

かたわらには座長愛用の香水が。

 

 

 

RISING WAVE、ライトブルーとサンセットピンクを男役と女形で使い分けているそうです。

 

 

 

 

ギリギリまでかつらは被らず、てんてん丸ちゃんのお世話をしつつ準備を進める千代音さん。


 

てんてん丸ちゃん、この日は2ヶ月ぶりの出演です。
座長「休む前はほったらかしでも手を振ったりできていたけど、今日はどうかな?」

 

 

 

 

舞台袖のてんてん丸ちゃん専用の椅子で出番を待ちます。

 

 

舞台上では、龍太さん、飛龍さん、蝶五郎さんがそれぞれセリフを確認中。
静かに佇んで集中する蝶五郎さん。

 

 

 

 

座長自ら開演前アナウンス




まずは顔見せミニショーです。

 

 

 

飛龍さん&優翔さん


 

 

 

 

蝶五郎さん



 

 

 

 

龍太さん

 

 

 

 

千代音さんと、舞台袖に脱走するてんてん丸ちゃん。
舞台袖からの座長の合いの手も愛情いっぱいです。

 

 

ちゃんとお客様にバイバイとお辞儀ができてました!

 

 

座長

 

 

 

ミニショーの幕が閉じると、みなさん総出で舞台チェンジ。
てんてん丸ちゃんはお着替えをしてベッドへ。

 

 

これから2時間ほどお昼寝してもらいます。

 

 

 

 

龍太さんはiPhoneでセリフの確認。

 

 

 

鬘のお手入れをする座長。

 

 

座長「前回立ち回りの時に乱れてしまったので。出番の前に綺麗に整えます。」

 

 

 

本日のお芝居は「お旦那半次」
普段より長めのお芝居とのこと。

座長「毎日お芝居が変わるので、『今日は完全に泣いていただきますよ』というようなお芝居が毎日続けばお客さんも疲れてしまう。同じ泣けるお芝居でも、次はちょっと笑いが入ったものにするとか、そういう日々のバランスも考えています。」

 

 


 

カタギに戻りたい吉松(優翔さん)

 

 

 


 

それを許さない金五郎(龍太さん)

 

 

 

 

吉松を庇うお旦那半次(座長)

 

 

 

 

 

総出で舞台転換。

 

 

 

 

 

背景を変えながら着付けも進める優翔さん。

 

 

 

 

 

自分の着付けが終わると、音響をしながら座長の着付けもこなす千代音さん。

 

 

 

次の幕が開き、伊勢屋での穏やかな日。

 


 

伊勢屋の大旦那(蝶五郎さん)の話を聞く番頭(飛龍さん)

 

 

 

 

 

こたか(千代音さん)と夫婦となり、伊勢屋の若旦那となった吉松。

 

 


お芝居は進み、ハラハラする展開に…。




 

 

 

 

吉松の背中を押す大旦那。



 

 

 

 

クライマックスに向けて、舞台転換。

 

 

 

 

 

激しい立ち回りに目が離せません。

 

 

 

 

 

 

ラストシーン、悲しく響く鐘の音を操作するのは飛龍さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

お芝居が終わり、座長のご挨拶。

 

 

 

 

 

息をつく間もなく次のショーの準備へ。
でも長丁場のお芝居が終わって、少しホッとしたような雰囲気です。

 

 

千代音さん「普段より15分ほどだけだけど、お芝居長かったね〜、あ!」
千代音さん、うっかり羽二重を破ってしまいましたが、なんてことなく対処してどんどん準備を進めます。

 

 

 

ショー向きの華やかなメイクに変わっていきます。

 

 

口紅を真っ赤に塗り直す優翔さん。

 

 

 

 

背中のおしろいも自分で塗ります。

 

 

 

 

第3部、舞踊ショーの始まりです。

 

 

トップバッターは千代音さん。

 

 

 

 

 

続いて蝶五郎さん。

 

 

 

 

続いて飛龍さん。
歌を口ずさみながら楽しそうに踊っていらっしゃいました。

 

 

 

 

舞台裏ではこの日の出番を終えた千代音さんがすでにTシャツに着替えておられました。
この後はみなさんの着付けに徹します。

 

 

Shintarou Tシャツ、すごく可愛い!

 

 

 

 


 

舞台では優翔さんが男らしく踊ります。

 

 

 

 

 

 

続いて龍太さん。

 

 

 

 

 

 

 

楽屋では女形ステージに向けての着付けをする千代音さんと飛龍さん。
終わりが見えてきて、和やかな雰囲気です。

 

 

 

 


 

舞台袖で裾引きに着替える優翔さん。すでに色気たっぷりです。
蝶五郎さんは可愛いドレスをふんわり捌きながら音響を担当していました。

 

 

 

 

 

そして座長。

 

 

傘捌きが本当にお見事でした…!

 

 

 

 

途中、てんてん丸ちゃんがお昼寝から目を覚ましました。

 

 

 

おはよう〜!

お弁当も届いていました。

 

 

 

今日は唐揚げ南蛮。美味しそう!

 

 

 

 

 

舞台袖にはすっかり女形に変身したみなさんが続々と集まってきました。

 

 

出番ギリギリまで鬘を綺麗に整えます。

 

 

 

 

まずは蝶五郎さん。

 

 

アン・ルイスです。サングラスが決まってる〜!

 

 

 

 

続いて飛龍さん。

 

 

儚い少女の表情。めちゃくちゃ可愛かったです。

 

 

 

 

楽屋では座長のお着替えも進んでいました。

 

 

 

出番を終えた飛龍さんは楽屋に戻るなり、座長の着替えのお手伝い。

ラストに向けてみなさん忙しなく動きます!

 

 

 

 

 

 

優翔さんの優美な舞い。

 

 

 

 

 

龍太さんも美しく舞います。

 

 

 

 

 

 

さて楽屋に戻ると、座長のお着替えが仕上がっていました。

 

 

羽根の羽織がとてもゴージャス!
一枚一枚がしっかりした作りで、とても重たいそうです……。
少しずつ羽が抜けてしまうらしく、大切にお手入れしていらっしゃいました。

この姿で舞台中央から堂々と登場。
目を奪われます。

 

 

 

 

 

 

舞台袖からパパを見守るてんてん丸ちゃん

 

 

 

 

 

 

 

豪華なショーは全員勢揃いで終わりました。

 

座長「本日の後半は女形大会ということでしたが、お帰りの際にクレームは一切受け付けません(笑)」
いえいえ、みなさんとってもお綺麗でしたよ!!

 

 

 

 

 

 

ご挨拶にはてんてん丸ちゃんも再登場。

座長「ちょっとあなた、いつもと違うみんなをご覧なさい、食べられちゃうよ!(笑)」
そんなことを言われても、てんてん丸ちゃんはお化粧顔のみなさんを見てもへっちゃらでした。

 

 


幕が降りるとホッと一息。
穏やかでアットホームな雰囲気になりました。

みなさんお疲れ様でした!

 

 

 

てんてん丸ちゃんは通りすがりのみんなに頭を撫でてもらいます。

ふと見ると、千代音さんのそばにピンクの毛が落ちてました。
千代音さん「あ、飛龍の抜け毛だ!」
飛龍さん「僕の抜け毛では無いですね、カツラの毛ですね」
そんなアットホームな会話がほっこりする舞台裏でした。

 

 

 

■澤村慎太郎座長よりメッセージ

「今回の『お旦那半次』を含めて、今月は劇団としては久々の演目が多いです。
先月休演して1ヶ月ぶりの公演で、目新しい感じで公演しています。
来月は別の劇場ですがまた大阪公演なので、ぜひご覧ください。
11月は羅い舞座 御所店です!」

 

羅い舞座 堺駅前店 2023年8月公演
「劇団あやめ」舞台袖レポート

2023年8月21日 18時10分09秒

劇団あやめ公演 舞台に密着

5月は舞台袖から取材させていただきましたが

今回はお芝居をじっくりご紹介

そしてもう1つ、

劇団あやめと言えば大がかりな舞台セット。

それらがどんなふうに作られているのか?

道具に関する座長の悩みとは??

そんな舞台セットの裏話に迫ります!

(取材日:2023年8月9日)

 

 

 

 

■第1部お芝居 「独眼流花かんざし」

【主な配役】
  • 源太…姫猿之助
  • 新太郎…初音白猿
  • おやえ…咲之阿国
  • おみよ…ひよこ
  • 辻斬り…三代目姫川竜之助
  • 医師 沢庵…千鳥

 

 

 

 

第1場 山中

 

旅の姉妹。姉おみよが持病の癪を起こし、妹おやえは水を汲みに行く。

 

 

 

 

おみよを殺し、懐から金を奪う辻斬り

 

 

 

そこへ通りかかった源太

 

 

 

辻斬りから金を渡される

 

 

 

姉のそばで泣くおやえ。おやえの目を治すための旅の道中だった。

 

 

 

 

第2場 源太の家

 

 

おやえの面倒を見る源太。

源太の優しさに、おやえの心の傷も癒ていく。

 

 

 

 

「お兄さんの顔を触らせて。

おっかさんが言っていたの。心の綺麗な人は顔も綺麗だって」

 

 

 

 

龍神一家の博打場で、いかさまをした新太郎。

追っ手をかけられ、源太の家に飛び込む。

 

 

 

源太と新太郎は義兄弟。

おやえとの暮らしを邪魔されたくないが、名案を思いつく源太。

「新太郎、俺の代わりに顔を触らせてやれ。ただし、絶対口を聞くな」

 

 

おやえに触れられ、新太郎もおやえに惹かれはじめる。

 

 

 

新太郎の思いを察知した源太。

素早く引き離す。

 

 

 

 

 

第3場 数日後 源太の家


 

おやえの目が治る可能性があるという沢庵。

「高麗人参を煎じて飲めば治るだろう」

源太はおやえのために、薬代の工面をすると言う。

 

 

 

「目が治ったらお兄さんのお嫁さんにしてください」

 

 

 

 

源太の留守中、おやえを訪ねてくる新太郎。

花かんざしをおやえに贈る。

 

 

 

帰ってきた源太、花かんざしを取り上げる。

 

 

 

沢庵が薬を手配してやって来た。

いよいよおやえの目が見えるようになるのだ。

 

 

 

 

新太郎も引かない。

2人はとうとう決闘に…

 

 

 

 

 

大詰め 喧嘩場

 

 

龍神一家が新太郎を見つける。

このまま突き出してやりたい源太だったが、

その中に、あの時の辻斬りがいるではないか。

 

 

「おやえの姉の仇!」

 

激しい斬り合いに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辻斬りに深傷を負わせる源太。

 

 

 

 

そして…

 

 

新太郎との決着をつける!

 

 

 

そこへ

 

 

「源さん!おやえちゃんの目が開いたぞ!」

 

 

 

喜ぶ源太。

 

 

 

大道に向かって叫ぶ。

 

 

 

 

おやえ「お兄さん!」

 

 

 

 

 

 

おやえが飛び込んだのは新太郎の方だった。

 

 

 

 

おやえに刀に振りかざす源太。

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

おやえの幸せを思い、身を引く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■「独眼流花かんざし」について

 

劇団花車時代にやっていたお芝居です。

元は侍の演目なんですよ。大衆演劇なので、やくざものに変えて。

 

おやえが源太に気づかないまま去っていくか、または途中で気づくか、劇団よって違います。

花車では、兄弟全員(錦之助・勘九郎・猿之助・二代目姫京之助)が主役を演じるので、僕は自分だけの源太を演ろうと、色々考えました。

最後のところは、映像ならスローモーションになるだろうなって。その感じを舞台で出そうと思ってやっています。(姫猿之助)

 

 

 

 

「源太はもっと暗い人間として演じられていたんですよ。

父(ゴッド姫京之助)も暗い人物として演っていたので、僕も初めはそうしていました。

劇団を旗揚げをして、新太郎役の白猿がどうも暗くてですね(笑)。

どれだけ明るくせーと言っても暗くて(笑)。

だから僕の方が明るいキャラにしました。

でも、その方が後々の悲劇性が増しますよね。

こんなふうに、座長になってから、わかることがいっぱいあります」(猿之助)

 

 

 

 

 

 

 

■第2部 舞踊ショー


舞踊ショートップ

若手リーダー初音白猿さんの「グレード・オブ・ジ・アイス・ドラゴン」セッティング完了。

 

 

セットがめちゃめちゃ大きい!

フレームにギリギリ収まりました。

 

 

 

「これを個人舞踊でやるって言うから、トップにしてくれって言ったんです。

みんなどんどん大掛かりになってきて、大変。

だってセットを組むのは僕ですからね〜(笑)」(猿之助)

 

 

 

 

いよいよ舞踊ショー開幕!

 

 

 

 

 

仕切り幕が開いてアイスドラゴン登場!

 

 

 

 

 

凍てつく氷の光を放つドラゴン。

 

 

 

 

 

赤い照明との対比がドラマチック。

 

劇団あやめのショーの真骨頂。

 

 

 

 

 

 

 

 

続くステージは千鳥さんの歌♪

 

 

ロングトーンは業界ナンバー1ではないでしょうか。

 

 

 

 

 

貴妃 咲之阿国さん

「ブッダのように私は死んだ」

 

 

 

 

 

 

 

若手リーダー 初音白猿さん

「坂本龍馬」

 

 

 

 

 

姫猿之助座長は女形で

 

 

 

 

 

 

闘うマスゴッドひよこさん

 

 

 

 

千鳥さん

2本目はしっとり舞踊で

 

 

 

 

「中舞踊 佐渡の恋唄」

 

 

咲之阿国さん、初音白猿さん

 

 

ひよこさん

 

 

 

 

 

 

「うちは気合いが入った演目はどうしても洋になってしまうので、必ず、どこかでしっかりした和テイストのものを入れるようしています」(阿国)

 

 

 

 

 

 

 

ゲスト 三代目姫川竜之助座長

 

 

 

 

マスゴッドひよこさん

 

 

 

 

 

 

姫猿之助座長

個人舞踊ですが、ラスト舞踊のプロローグでもありました。

 

 

 

 

 

■ラスト舞踊「桜の森の満開の下」

 

 

 

桜の森には”鬼”が棲むという…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無事終幕!

 

お疲れ様でした!!

 

 

 

 

 

 

 

■劇団あやめの舞台道具を語る

 

 

左より 貴妃咲之阿国、座長姫猿之助

 

 

 

 

●荷物が多い!

 

ーー 劇団あやめメンバー5人とゲストの三代目姫川竜之助さんの6名ですが、6人分とは思えないくらい荷物が多いのですが…

 

座長:え!多いですか?

 

ーー はい(笑)。

 

阿国:10トントラックと4トントラックで、これでも泣く泣く減らしたんですよ。

2年前乗らせてもらった時は、もっと持って来てましたね。

 

 

 

●いつの間にか増える 特殊造形の衣装

 

阿国:うちは衣装が特殊造形なので、畳んで直せないと言うのもありますね。

 

猿之助:一周年記念をやるので、増えているかも…。僕が知らん間に増えてる(笑)。

ひよちゃんも、知らない間に色々作っているし。

 

阿国 これは座長から言われていることなんですけど、人数が少ないからこそ、

それを感じさせない舞台を作ることがうちのポリシーです。

だから、人数が少ないからこそ荷物が多いんです。

 

 

猿之助:1人1人のこだわりが強いんですよ。それはもうね、書いといてください、迷惑ですと(笑)

今日も1人の舞台セットを組むのに、汗だくです(トップの白猿さんのこと)。

 

 

 

 

●舞台道具の貸し出しも

 

ーー これらはどうやって作っているのでしょうか。 

 

猿之助:僕がデザインして、舞台衣装の会社yacco(ヤッコ)で作っています。

 

ーー アイスドラゴンの素材は何ですか?

 

猿之助:あれはウレタンですね。削って形を出しています。

実はこれまで作った道具の貸し出しを始めようと言っています。

倉庫にずっと置いておくと劣化するんですよ。

なので、使いたい劇団さんがあればぜひお知らせください

 

 

 

 

●怖くて美しい"鬼"

 

ーー ラスト舞踊「桜の森の満開の下」について、お聞かせください。

 

 

 

阿国:鬼は怖いけど、それだけじゃなく、天真爛漫な感じを出したくて演っています。

 

猿之助:無邪気な仕草の中に、ちゃんと”鬼”が見えるとのが、すごいと思う。

 

阿国:新しくお面を作りました。鬼の面に毛がついているので、かつらにもなるんですよ。

 

 

石見神楽の面職人が手がけたお面。

近くで見ると、より精巧さがよくわかります。

 

 

●大衆演劇が伝統工芸士の活躍の場に

 

阿国:広島の石見神楽の面工房にお願いしました。

鬼でもどこか綺麗なものを残して欲しいと頼んで作ってもらいました。

 

猿之助:まだ若い方なんですよ。独学でやられているそうで、僕らも応援しています。

 

阿国:今、伝統工芸の職人さんが本当に減ってきていて…

 

猿之助:剣劇の刀を作る人も、高齢で辞められたり、どんどんいなくなっていて、

作り手さんをを探すのにも苦労しています。

探して探して、出会えた時は僕らも嬉しいし、職人さんにも喜んでいただけますね。

「ありがとうございます!」って。

 

ーー なるほど、そういう意味では、大衆演劇が、伝統工芸の職人さんたちの仕事を見てもらえる機会にもなっているのですね。

 

 

 

 

 

 

●それぞれのお気に入り!


ーー 今日はありがとうございました。

最後に、それぞれのお気に入りの道具を教えていただけますか。

 

阿国:今度の誕生日公演用に作ったかつらです。

 

 

 

 

ーー こんな長い三つ編み、見たことないです!

 

阿国:ワイヤーが入っているので、好きな形に出来るんですよ。

 

 

猿之助:僕は初めての『Ennosuke’s greatest show』で作ったスサノオの衣装です。

やりたかったことを全て盛り込んだもので、思い入れがありますね。

 

 

 

2021年12月29日『Ennosuke’s greatest show』@世界館

 

 

 

 

 

猿之助:もう1つが「暫(しばらく)」の豪華版です。

 

 

 

2022年12月29日 『Ennosuke’s greatest show』@世界館

衣装というより特殊造形の世界。

 

 

 

 

猿之助:今、どの劇団さんもどんどん衣装が派手になっていますよね。

ド派手な衣装は、僕らが先陣を切っていると言う自負があるので、

負けないように、これからも皆さんに喜んでいただけるものを作っていきたいと思っています!

 

 

 

 

「桜の森の満開の下」の紙吹雪。

ピンクのハート型でした^^

 

 

 

 

 

【劇団あやめ】

平成23年(2011)旗揚げ。

座長の姫猿之助は劇団花車の姫京之助ゴッドの次男。

劇団花車時代より、自らデザインした斬新な衣装を次々と発表するなど異色の存在として注目を集め、2008年にはパリ・オペラ座での公演を成功させるなど、大衆演劇の枠を超えて活躍。
旗揚げ後は座長のもとに集まった座員と共に研鑽を積み、独自の舞台を繰り広げ、客を魅了する。

 

 

千秋楽の30日まで、堺駅前店にて元気いっぱい公演中。

劇団あやめならではの舞台を、ぜひご覧くださいませーー!

 

 

【劇団からのインフォメーション】

今年も開催『Ennosuke’s greatest show』
2023年12月29日 大阪弁天町世界館にて開催致します。
新感覚4D演劇 Ennosuke’s greatest show

公式Twitter
https://twitter.com/EnnosukeS

 

 

 

 

羅い舞座 堺駅前店 2023年7月公演
「劇団天虎」お芝居&舞台袖レポート

2023年7月27日 14時46分20秒

劇団天虎公演の舞台裏に密着!

客席からは見られない楽屋や舞台袖での

奮闘ぶりに迫ります。

 

今回は劇団で大切にされているお芝居「上を向いて歩こう」の舞台模様をご紹介。

座長の思いや稽古方法などを伺いました。

 

それではどうぞお楽しみくださいませ〜!

(撮影:2023年7月4日昼の部)

 

 

 

■昼の部開演前

 

朝11時。

「おはようございまーす」

いつものように取材班が楽屋を訪ねると…

 

 

七星泰河座長「おはようございまーす」

 

 

前回と同じく、楽曲の保存作業中。

 

「前回ご紹介させていただいた紙吹雪作りが面白かったと

ブログをご覧になった方が言っておられました」

 

泰河座長に伝えますと

 

実はあれからめっちゃ上達したんですよ

お見せするのでまた撮ってくださいね」

 

「そうですか!はい、ぜひ撮らせてください」

(ページの最後にご紹介いたします!)

 

 

 

 

■本日のお芝居「上を向いて歩こう」について

 

左より七星泰河、和新之助

 

 

「これは『上州土産百両』や『月夜の一文銭』と言ったタイトルで

色々な劇団さんで演られているお芝居ですが、

うちでは美影愛先生という方が作ってくださった脚本でさせてもらっています。

僕の師匠(劇団芸昇・みやま昇吾座長)が、

御所の羅い舞座さんに初めて乗せてもらった時

最初にかけたお芝居でした。

だから僕が旗揚げする時も、

初日にこのお芝居をさせてもらおうと決めていました」

(泰河座長)

 

 

 

一番手前の白黒の格子の着物が、座長演じる牙次郎の衣装。

 

 

「初めて牙次郎をやらせてもらったのは16歳の時で

川崎の大島劇場でした。

稽古した後、銭湯に行ってセリフをひたすら繰っていたことを

今でも覚えてますね(笑)。

 

劇団芸昇の七周年記念友情会でも上演され、

劇団天虎でも大切にしている十八番の一つです」

(泰河座長)

 

劇団芸昇七周年記念友情会(2009)のDVD。

 

 

 

 

 

泰河座長の隣の化粧前から、なぜか泰河座長の声が。

見ると、花組むらさきの南條のぼる座長が

口立て稽古の録音を聞きながら化粧をされていました。

 

 

「前回演ったのが1ヶ月前なので、復習しています」(のぼる)

 

 

 

録音データが入ったiPhone。

他にもたくさんのお芝居が収録されています。

 

 

 

 

 

マンスリーゲストの二代目梅澤秀峰さんも

録音を聴いておられました。

 

 

秀峰さん愛用のカセットデッキ。

 

 

 

 

二代目梅澤秀峰さん。

 

 

今日はスリの親分役です。

 

 

 

 

 

和新之助座長

 

 

牙次郎にとって大切な人・銀流しの正太郎を演じます。

 

 

 

 

 

 

花組むらさき 藤間美香座長も

 

 

お芝居ノートを見て復習。

 

 

 

 

 

小道具も舞台袖に。

 

 

 

 

 

音響担当の愛莉ちゃんのメモもスタンバイ。

 

 

 

 

 

「お願いしまーす」

 

 

座長のコールで、開幕です。

 

 

 

 

 

■お芝居開幕

 

《配役》

  • 牙次郎…七星泰河
  • 銀流しの正太郎…和新之助
  • 新吉…藤間美香
  • ひさご屋女将…幸妻弥枝
  • 目明かしの親方辰次…南條のぼる
  • 目明かし定吉…三代目姫竜之助
  • スリ…七星英雄
  • 茶店の娘…七瀬愛莉
  • 燕の親分…梅澤秀峰

 

 

 

 

序幕  江戸市中

 

 

祭りの日。

燕の親方と新吉、銀流しの正太郎が”仕事”に出向いてきた。

 

 

 

茶店の娘にも支払いを弾む正太郎。

 

 

 

 

 

そこへ、以前正太郎が面倒を見てやっていた牙次郎が偶然通りかかって…

 

 

「おやじさん!!」

正太郎との再会を喜ぶ牙次郎。

 

 

 

 

喜びのあまり涙を流す牙次郎に

「泣くな!」と正太郎が一喝。

 

 

泣きん坊の牙次郎がピタッ!と泣き止む。

 

 

 

 

 

 

燕の親方に、正太郎にスリを辞めさせてやってほしいと頼む牙次郎。

 

 

 

 

燕の親分に背中を向けて話をする正太郎。

 

「自分も歳をとった。

旦那たちに迷惑がかかる前に、この稼業から足を洗いたい」

 

 

 

 

燕の親方が認めても、新吉の胸中は…

 

 

 

 

 

燕の親方に縁を切ってもらい、正太郎は晴れて自由の身に。

 

 

一緒に暮らそうという牙次郎。

しかし正太郎はここで別れて

お互い一人前になってから

三年後に再会しようと言う。

 

 

 

 

 

 

不安げな牙次郎。

 

 

正太郎からお守りがわりに持たせてもらった煙管を握りしめ…

 

 

 

 

 

第2場 信州の料亭ひさご屋

 

逗留中の燕の親分と新吉。

江戸前の美味しい料理に感動し、板前に感謝を伝えたいと言う。

 

 

 

 

「流れの板前が作ったもの」と女将。

 

 

 

呼び出されて座敷に出てきた板前を見て驚く二人

 

 

 

 

流れの板前とは正太郎のことだった。

 

 

女将に正太郎へ手紙を託す新吉。

 

 

 

 

 

 

 

第3場 水天宮

 

正太郎に金の無心をする新吉。

正太郎が給金を貯めて作った五両では不足だと言う。

 

 

 

匕首を取り出す新吉を抑える正太郎

 

 

 

揉み合ううちに新吉の腹部に刺さる

 

 

新吉は今際で正太郎への思いを吐露。

だがもう遅い…

 

 

 

 

 

 

 

「新吉。お前は可哀想な男だなあ…」

 

 

 

 

 

 

 

大詰め 江戸 常源寺

 

目明かしの辰次と定吉

 

 

 

 

 

「ガジじゃあねえか。こんなところで何をしている」

 

 

「あ、親方さん。人を待っているんです」

 

 

 

 

兄貴分の定吉から十手を貸してもらう

「その恩人に立派になったところを見せてやれ」

 

 

 

 

お地蔵様の陰から牙次郎を呼ぶ声が…

 

 

 

 

 

正太郎が約束通りやってきた。

 

 

 

 

 

 

むしろを敷いて…

 

 

二人一緒に「まずはご機嫌さん!!」

 

 

 

 

再会を喜んだ後、牙次郎が見せた十手に

 

 

驚いて飛び退く正太郎。

 

 

 

 

戻ってきた辰次がお尋ね者の正太郎に気づく

 

 

 

 

「親方さん、どうか見逃してやってください…!」

 

 

 

 

牙次郎の嘆願に、辰次はどう答えるのか。

二人が選んだ道とは。

 

お芝居最大の見どころを

ぜひ舞台で!!

 

 

 

 

■七星泰河座長がかたる牙次郎という人物

どこか抜けているけれど、義理堅い男

一度助けてもらった人を忘れない。

動物の本能じゃないですけど、恩に尽くす人物です。

だから銀流しの正太郎も、危険を承知で約束の場所にやってくるのだと思います」

 

 

 

 

 

 

■舞踊ショーへ

 

幕開けトップは和新之助座長

 

 

 

 

 

 

支度中の幸妻弥枝さん

 

帯を前で結んで…

 

 

 

 

くるっとひっくり返す

 

アレンジ結びも完璧!

 

 

 

 

 

 

 

 

三代目姫川竜之助座長

 

 

竜之助座長に聞くセリフの覚え方

 

「このお芝居は今日が初めてです。

前日に口立て稽古してもらって、

あとは録音したものを聞いて覚えました。

役者さんによって違うと思いますが、

僕は小さい頃から「見て覚えろ」って言われて

ずっとそうやってきたので。この覚え方ですね。

台本読むより聞いた方がリズムが取りやすいんですよ。

リズムと一緒に覚える感じですね」

 

 

 

 

劇団天虎のスーパージュニア・七星愛莉ちゃん。

 

音響テーブルを操作しながら自分で着付け。

いつもながらすごいの一言。

 

 

 

 

七星愛莉ちゃん

 

 

 

 

 

愛莉ちゃんが踊っている間は七瀬英雄さんが音響につきます

 

 

 

 

 

 

 

藤間美香座長

 

 

 

 

七星英雄さん

 

 

 

 

和新之助座長&三代目姫川竜之助座長

 

 

「今日は相舞踊です」

 

 

 

 

舞台をいっぱい使って、流れるように踊るご両人

 

 

 

 

 

 

女形の七星泰河座長

 

 

板付で登場

 

 

 

 

 

楽屋に戻って間髪入れずに立役に変身

 

 

ワンコーラスで

 

 

群舞に参戦!

 

 

 

 

 

女形の支度中の南條のぼる座長

びん付油で鬘を整えます

 

 

「曲は○○○です〜」

 

「はーい」

 

香盤表に書き留める愛莉ちゃん

 

 

本当に働き者です♪

 

 

 

 

 

 

南條のぼる座長

 

 

 

 

 

いよいよラスト舞踊へ

 

 

「貝殻節」

黒と白の衣装で厳かに

 

「これは京橋劇場に乗った時に作ったもので

大きく動く振り付けで、派手に見せる感じですね」

(泰河座長)

 

 

 

扇にあおられ、雪かごから紙吹雪がハラハラと

 

 

お昼の部終演!

お疲れ様でした!!!

 

 

 

 

 

■本日のエピローグ・泰河座長の紙吹雪工房♪

 

「前回取材してもらった時より

めちゃ早く切れるようになったんで見てください」

 

 

座長の傍に愛用の裁断機。

空いた時間はせっせと紙切り。

 

 

 

 

こんなふうに縦長に切って

 

 

「あとはハサミで雪のサイズに切ります」

 

 

 

 

完成した紙吹雪。

 

 

持ち上げると結構重いです。

 

「5キロ入ってます」

 

この量で、通常のショーの1回分だそうで、

「梅川忠兵衛」はこの3倍。

「三人吉三」などはもっと大量に使うそう。

推定50〜60キロ!

ひえ〜。

 

 

「買うと高いんですよ。1キロで6000円くらい。

他の劇団さんも必要だろうから

たくさん作って売ろうと思ってます

もちろん通常より安価でお分けしますので

必要な方は僕まで言ってくださいね」

 

と、すっかり紙吹雪職人と化した座長。

慣れた手つきでサクサク切っておられました。

 

 

では今回も名言で締めていただきましょう・・・

 

「腕が上がれば金になる」by 泰河

 

 

 

劇団紹介

劇団天虎(げきだんてんこ)

劇団芸昇で座長を務めた七星泰河座長が、2019年7月に羅い舞座 堺東店で旗揚げ。
古典から現代劇まで幅広く演じ、特に三枚目役には定評がある七星泰河座長のもと、旅芝居という大河へ悠々と挑む。

七星泰河座長の初舞台は8歳。昨年の2月には芸道20周年の記念公演を羅い舞座 京橋劇場で行いました。

現在28歳。自ら立ち上げた劇団を牽引する若き気鋭の座長。

ただいま羅い舞座堺駅前店で元気いっぱい公演中です!

 

 

 

 

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